iDeCo(確定拠出年金)と個人年金保険を資産形成の目線で比べると結果は一目瞭然
こんにちは、Kenji(@sorakoge)です。
前回のエントリで、iDeCoの概要と、NISAの比較について検討してみましたが、本日のエントリではさらに一歩進んで、多くの人が加入していると思われる個人年金保険と、iDeCoの比較をしてみたいと思います。
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個人年金保険とiDeCoの比較サマリー
さっそくですが、個人年金保険とiDeCoの違いを纏めたのが下記の表です。
見て頂くとわかる通り、個人年金保険とiDeCoの最大の違いはその節税効果です。
iDeCoは積立額の全額について、支出年に小規模企業等掛金控除として所得控除が認められます。
一方、生命保険料控除は下記の算式に当てはめた金額が生命保険料控除として所得控除が認められる仕組みで、その上限は年間4万円となっています。
(個人年金保険の生命保険料控除の算式)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1140.htm
したがって、個人年金保険には年間投資額がないといっても、年間4万円を超えると控除額は逓減しますし、8万円を超えると節税効果はなくなってしまいます。
このため、両者を比較すると掛金全額の所得控除が受けられるiDeCoの方が、制度上明らかに有利ということができます。
さらに、受取時の取扱いも同じ雑所得ですが、下で述べるとおりiDeCoの方が断然有利です。
受け取り時の取扱いの違い
個人年金保険の場合
個人年金保険は、積立時に支出した金額を控除しているわけではありません。
したがって、受取時に過去に支出した掛金を案分計算して、必要経費として処理できます。
案分で計算した経費を差し引いた後の金額が雑所得の金額として課税対象になります。
(個人年金保険に係る受取り時の所得計算方法)
年金受取額 △ 必要経費 = 雑所得の金額
※契約者(保険人)と受取人の違いによっても税金の取扱いは大きく変わります。
個人年金保険の税の取扱いについてもっと知りたいという人は下記HPなどへどうぞ。
https://www.hoholine.com/guide/zeikin/zeikin9
iDeCoの場合
他方、iDeCoの場合はどうでしょうか。iDecoは税制上「公的年金等に雑所得」に分類されるため、公的年金等控除が適用されます。
そのため、受け取り時の所得の計算方法はこうなります。
(iDeCoに係る受取り時の所得計算方法)
公的年金等に係る雑所得の金額 = 収入金額(a)×割合(b) – 公的年金等控除額(c)
この計算式の(b)と(c)は所得税法上定められており、具体的には以下の表のとおりです。
(参考URL:No.1600 公的年金等の課税関係)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm
つまり、「公的年金等」に分類される限り、受取り時に税負担を軽減するために追加控除が認められるんですね。
支払い時に投資額は支払い時にすでに経費扱いが認められていますから、受取り時の公的年金控除分は丸々節税効果になります。
これは同じ雑所得でも、個人年金保険に比べると大きなメリットと言えます。
具体的な比較例
では具体的に、下記の前提条件で個人年金保険で運用していた場合と、iDecoで運用していた場合で比較してみましょう。
かなり前提を置いていますが、もともとが20年30年の長い目線で見た場合の比較検討で、税制や経済環境(運用状況)も変わるでしょうから、制度のプロコンという意味ではそこまでずれていないと思います。
<前提>
✔保険料の積立総額が100万円
✔積立期間は10年間
✔受取り開始時点の年金受取額総額が120万円
✔受取期間10年間
✔積立期間の所得税の適用税率は20%(課税所得330万円超695万円のブラケットに適用される税率)
✔受取期間の所得税の適用税率は20%(比較のため、仮に勤労期間と同じ税率が適用されると仮定)
✔支払時、受取り時ともに住民税や社会保険への影響は無視する
✔この他、公的・民間の保険に加入していないと仮定
ではこの前提のもと、個人年金保険とiDeCoにそれぞれ加入した場合、支払い時、受け取り時にどのような違いが出てくるでしょうか。
それを纏めたのが下の表になります。
<比較結果>
比較結果は上記の表のとおりです。
同じ100万円を投資しても、個人年金保険の4万円という税メリットに対してiDeCoでは20万円の税メリットが得られる計算です。
当たり前といえば当たり前ですが、受取時の公的年金等控除額を考慮すると、iDeCoの方が有利になります。
サイトによっては小規模企業共済の掛金控除にメリットがあると強調する方もいるようですが、個人年金保険であっても支払った保険料は受取り時に必要経費に算入できるので、結局経費扱いにできる点は一緒で、正直ミスリーディングかなぁと思っています。
(もっとも、現役世代である支払い時の適用税率の方が高いはずなので、所得の減殺効果は大きいですけどね。)
なお、上記はかなり粗い試算で、公的年金等にはサラリーマンであれば会社の厚生年金も加わりますから、該当するブラケットが変わることも考えられます。
しかし、その場合であっても、現役時代よりも年金受給になったときの方が所得が増えるということはほとんどないでしょうから、常にiDecoの方が有利という結論は基本的に揺るがないと思います。
編集後記
私は投資運用を始めたのはもう15年以上前、ITバブル華やかりし頃でした。
株式と外貨預金から始めて、その後投資信託、債券、レポ、FX、外国株から金投資、FX、保険など、色々な取引・商品にチャレンジしてきました。
以前証券会社に勤務していたこともあり、金融商品については、おそらく人よりも多少色々な商品に運用している方だと思います。
そんな私が見て、昨年初にサラリーマンに確定拠出年金への道が開かれたのはNISA以上に衝撃的なBig newsでした。これから資産形成をという方は、個人年金保険よりもまずiDeCoから活用されてくださいね。
投資はiDeCo(確定拠出年金)から始めるべき理由とNISAとの比較
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