駐在員も知っておきたいアメリカの源泉徴収票(Form W2)の見方 

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こんにちは、Kenji(@sorakoge)です。

 

今日はアメリカ駐在員の方向けに、派遣先の会社から交付される源泉徴収票(Form W2)について解説します。

私自身も最初は見方がわからなかったので、ぜひ参考にしてみて下さい。


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駐在員も自分の給与明細や申告を把握すべき

駐在員の方は外部の会計事務所などに委託されて、Form1040の作成まで代行してくれるパッケージになっている方も少なくないと思います。

 

しかし、自分のお給料が額面・手取りでいくらで、どれだけの税金を払っているのかを知ることはとても大事です。

 

加えて、アメリカではPayrollや外部会計事務所が作業代行してくれるといっても、元となる情報は自分で渡す必要があったり、場合によっては源泉徴収票に誤った金額が記載されてくることだって考えられます。

 

実際、私は赴任当初のPayrollで一度、そして年度末のPayrollでも一度の合計2度ポカミスをやらかされました。

会社の名誉のために詳細は伏せますが、自分できちんと調べて気づかなければ、特にW2上のミスはそのままForm1040に天気されたことと思います。

そして年度末のミスは、よくあるケースですが担当者がぐるぐる回りまわって、「私はこの数字を持ってきただけ。だから間違っていない。」のよくある弁解ラッシュ。。話のわかる担当者につないでもらって、さらにその上司にまでなぜ誤っているのかを説明して、結局解決するのに2か月かかりました。。

 

アメリカは良くも悪くも自己責任の国ですので、自分に影響のあることは自分でしっかりと状況を把握しておくべきだと実感しました。

 

Form W2の位置づけ

ではForm W2とは何なのでしょうか。

 

雇用主は$600以上の収入を得ている雇用者(サラリーマン)に対してW2を発行し、収入や源泉徴収税額を通知するが義務あります。

 

前年1月1日~12月31日までの情報について、翌年1月31日までに交付を行うこととされています。

 

日本では「年末調整」という形で12月の年最後の給与の支払の際、原則として源泉徴収税額=年税額となるように調整を行いますが、アメリカには年末調整の仕組みはありません。

 

各納税者は交付を受けたW2に基づいて、アメリカのForm1040の申告を行うことになります。

 

なお、W2は雇用主が雇用者に関して行うもので、同じ会社で働いていても、雇用者としてではなく請負や委託という立場で働いた場合はW2は発行されません。

 

この場合、Independent Contractor として、下の写真のような”Form 1099”という別の書類の発行を受けることになっています。

Form 1099

 

Form W2の仕組み

さて、ここまで説明したところで、Form W2に記載される項目の内容をご説明します。

 

記載欄は1-20まで20項目あります。

 

申告の際はTurbotaxなどに転記していくことになるためすべての情報を使いますが、自分の給与を知るという意味では1欄~12欄までの意味を知っておけば十分です。

 

各項目に記載される内容は以下のとおりです。

Box  Description 内容
Box1 Wages, tips, other compensation Before Tax控除後の課税給与の額
Box2 Federal Tax withheld 源泉連邦税額
Box3 Social Security Wages 社保算定上の課税給与の額
Box 4 Tax Withheld 源泉税額
Box5 Medicare Wages and Tips Medicare Tax上の課税給与の額
Box 6 Tax Withheld 源泉税額
Box 7 Social Security Tips 雇用主にレポートしたチップの額
Box 8 Allocated Tips 雇用主から支払われたチップの額
Box 9 Verification code (通常ブランク)
Box 10 Dependent Care Benefits 扶養親族のケアのために雇用主からサポートを受けた金額
Box 11 Non-qualified Plans 支払いが繰り延べられる給与やボーナスの額
Box 12 Catchall Area 下で別途解説します

さて、このうち自分のW2を見た際「あれっ?」と思うのはBox1だと思います。

 

Box1は課税対象となる給与の額が記載されており、日本でいう「給与所得控除後の給与等の金額」のようなものと思ってもらえれば構いません。(少し概念が違いますが。)

 

具体的には、Box1には、401(k)などの税控除対象となるリタイヤメントプランへの積立額が含まれません。

また、FSAや、会社の健康保険プログラムに加入している場合の本人負担分も控除された金額が記載されます。

 

Box2に記載された金額が源泉徴収された連邦税額を表しており、これと1040上で計算された年税額とを比較して、過不足を精算していくことになります。

 

 

Box 12のアルファベットの意味

Box12というところにはDやAA、DDといったアルファベットが並んでいると思います。

 

一見意味不明な記号にしか見えませんが、これにもちゃんとした意味があります。

 

例えば下記は私が交付を受けたW2の抜粋ですが、赤で囲った部分に「D」と「DD」というアルファベットがついているのが見えると思います。

この「D」は401Kへの拠出額、「DD」は雇用主負担の健康保険の負担額を表します。

それぞれの記号の意味は下記をご覧ください。

 

Box 12のアルファベットの意味

  • A:Uncollected social security or RRTA tax on tips reported to your employer
  • B: Uncollected Medicare tax on tips reported to your employer (but not Additional Medicare Tax)
  • C: Taxable cost of group-term life insurance over $50,000
  • D:Contributions to your 401(k) plan
  • E: Contributions to your 403(b) plan
  • F: Contributions to your 408(k)(6) plan
  • G: Contributions to your 457(b) plan
  • H: Contributions to your 501(c)(18)(D) plan
  • J: Non-taxable sick pay
  • K:20% excise tax on excess golden parachute payments
  • L: Substantiated employee business expense reimbursements
  • M: Uncollected social security or RRTA tax on taxable cost of group-term life insurance over $50,000 (only applies to former employees)
  • N: Uncollected Medicare tax on taxable cost of group-term life insurance over $50,000 (but not Additional Medicare Tax) (only applies to former employees)
  • P: Excludable moving expense reimbursements paid directly to employee
  • Q:Nontaxable combat pay
  • R: Employer contributions to an Archer MSA
  • S:Contributions to your 408(p) SIMPLE plan
  • T: Employer-provided adoption benefits
  • V: Income from the exercise of non-statutory stock options
  • W: Employer contributions (including employee contributions through a cafeteria plan) to an employee’s health savings account (HSA)
  • Y: Deferrals under section 409A on an nonqualified deferred compensation plan
  • Z: Income under a nonqualified deferred compensation plan that fails to satisfy section 409A. This amount is subject to an additional 20% tax plus interest. TurboTax does not support the calculations for Code Z.
  • AA: Designated Roth contributions under a section 401(k) plan
  • BB: Designated Roth contributions under a section 403(b) plan
  • DD: Cost of employer-sponsored health coverage.
  • EE: Designated Roth contributions under a governmental section 457(b) plan
  • FF:Permitted benefits under a qualified small employer health reimbursement arrangement

 

私も内容をよく知らない項目もあるためすべての項目を説明するのは難しいですが、ご自身のW2と照らして、該当項目の内容が月々のPayrollとマッチしているかを確認した上で、Form 1040を作成するのが望ましいと思います。

 

自分で申告をするという方へ

駐在員で申告を初めてするという方は、(私もですが)初年度はTurbotaxで申告をするのがおすすめです。

 

他のソフトに比べるとお値段は少し高めですが、その分対応する別表も多いですし、必要に応じてオンラインから会計士・税理士といった専門家へ相談することも可能です(ただし有料です)。

何より使いやすいのがSearch boxという機能で、Formの番号や気になる項目を入力すると、該当項目のリンクが現れます。

 

例えば、下記の画面では外国税額控除(Foreign Tax Credit)を入れてみた画面のキャプチャです。

“Jump to foreign tax credit”を選択すれば外国税額控除を取るための入力画面にリンクしてくれます。

 

メニューガイドからはどこで入力してい良いかわからないケースも多々あるため、検索画面から説明が確認できて、そのまま該当項目にリンクしてくれるのは非常に助かります。

 

Turbotaxは私のリファーラルリンクから申し込み頂ければ、20%OFFになるようですので、よろしければお使いください。

 

まとめ

私は職業柄こういったことに興味関心があったのでForm2の記載項目一つ一つを見てみましたが、個々人が自分の収入と課税の状況をしっかり把握して、それを申告に落とせるかというは正直疑問です。

 

しかしせっかくアメリカにいるわけですから、例え出向元のパッケージで税務申告の代行が行ってもらえることになっていたとしても、最低限の税務知識と関心を持っておくことは決して無駄にならないと思います。

 

関連エントリです。

 

こちらはアメリカの2018年税制改正について、主に個人所得税の改正項目をまとめたエントリです。

影響があるのは2019年に提出するForm 1040からですので、来年の申告の際に私も含め多くの方が「あれ?何が変わったんだっけ?」となりそうですよね。

こちらはアメリカの節税術の定番、401KとIRAについて纏めた記事。アメリカに赴任してきてまだ加入していないという方は一度ご検討頂くとTax Savingに繋がると思います。



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Kenji

斎藤ケンジ(Saito Kenji) 30代男性、2017年夏からアメリカ・ニューヨークに駐在して2019年7月に日本へ帰任。 ニューヨークでは長男に恵まれ、妻と3人でマイル&ポイントを駆使しながら旅行を満喫。物価が高いアメリカ生活での生活事情、お金の運用や節約について奮闘するさまを見てやってください。

4件のフィードバック

  1. マサ より:

    こんにちわ。私もシカゴへ家族と帯同で赴任しております。
    未だ補助金はもらえていませんが、他の会社の駐在員の方で自分で確定申告されている方は振り込みがあったようです。私の会社では確定申告は外部へ依頼しており、登録口座等が不明です。待つべきか、IRSのサイトで口座登録のようなものがありそれを登録すべきなのでしょうか?ご意見頂けますか?

    • Kenji より:

      マサさん、
      コメントありがとうございます。以前下記エントリで解説しましたが、IRSのページ上でStimulus checkのステータスを確認することが可能です。
      https://sorakoge.net/covid19-1200-detail

      https://www.irs.gov/coronavirus/economic-impact-payments

      ステータスがPendingになっていれば待ちの状況で、もしCompleteになっていれば会社に問い合わせてみる形が良いかもしれません。Filerには銀行振り込みと言っていますが、実際には銀行エラーなどが起こる場合、Checkで送付しているケースもあるという情報を目にしています。早く振り込まれるとよいですね。

  2. ケン より:

    こんにちは。ニューヨーク に駐在で、妻を帯同しています。まだ補助金のチェックは届きません。
    2019年5月に駐在を開始、W2の項目1が150000ドル以下で資格ありですよね?
    確定申告は自分でしていません。このまま待っていたら、2400ドルのチェックが届くのでしょうか?試しにIRSのサイトでPay my Paymentに必要情報を入力しましたが、mismatchではじかれました。大丈夫でしょうか?チェックが届くか不安です。
    よろしくお願いします。

    • Kenji より:

      ケンさん、
      コメントありがとうございます。なかなか届かないと不安になりますよね。判定はAGIですので、2019年申告の場合にはLine 8Bで判定になるはずです。19年の申告を未提出でもチェックを受け取ったという情報も複数目にしているので、18年申告者から対応しているだけかもしれません。申告のステータスによっても変わるかもしれませんが何とも言えませんが、辛抱強く待つしかないかもしれません。無事届くことを祈っています

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